
コロナ禍明けになると円安などの要因により海外からのインバウンドや在留外国人が増え、ルールを守らない外国人に係る映像などSNSやテレビなどで伝えられるようになり国民の間で不安が高まっている状況です。
そのような事情から世論としてルールを守らない外国人の速やかな送還が強く求められるようになり、「不法滞在者ゼロプラン」が策定されることになりました。
不法滞在者ゼロプランの概要
不法滞在者ゼロプランとは、ルールを守らない外国人により国民の安全・安心が脅かされている社会情勢に鑑み、不法滞在者ゼロを目指し、外国人と安心して暮らせる共生社会を実現する計画のことを言います。
不法滞在者をゼロにするために次3つの段階における対策がまとめられました。
- 「入国管理」
- 「在留管理・難民審査」
- 「出国・送還」
1.「入国管理」
①日本版ESTAである電子渡航認証制度「JESTA(ジェスタ)」の早期導入
ビザ(査証)が免除されている国・地域からの渡航者に対し、渡航前にオンラインで申請・審査する制度を早期(2028年度中の導入を目指す。)に導入することが決まりました。
事前に提供された情報をもとにスクリーニングを行い、好ましくない外国人の来日を未然に防止するのに役立ちます。
②退去強制が確定した外国人が多い国に対する働き掛け
被退令仮放免者、被退令監理者及び被退令収容者など退去強制が確定した外国人が多い国に対して、外務省と連携して、不法滞在者の発生を防止するための取組などに関する働き掛けを強化する対策が決まりました。
2.「在留管理・難民審査」
③難民認定申請の審査の迅速化
難民認定申請の審査の迅速化誤用・濫用的な難民認定申請を抑制するため、外国人の出身国情報等を考慮し、難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を主張している案件を類型化し、在留の制限を実施すると共に、早期かつ迅速な処理体制を整備することが決まりました。
なお法改正施行前の複数回申請者について、早期の審査を実施するとのことです。
④出入国在留管理のDX
情報DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、出入国在留管理のDX難民等認定手続について、審査手続の迅速化を図るため、AIを含むデジタル技術の活用を検討する予定だそうです。
ジェスタ(JESTA)の導入後は、入国から出国までの情報を一元的に管理し、不法滞在者の把握等の活用をする対策がまとめられました。
3.「出国・送還」
⑤護送官付き国費送還の促進
主に令和5年改正入管法により送還停止効の例外として送還が可能となった者や重大犯罪者など退去強制が確定した外国人を、計画的かつ確実に強制退去させるために、国費により護送官付きで強制送還を実施することが決まりました。
⑥改正入管法の新制度を活用した自発的な帰国の促進
出国命令制度や上陸拒否期間短縮制度の積極的な活用を促し、不法滞在者の自発的な帰国を促す対策がまとめられました。
⑦被仮放免者の不法就労防止
被仮放免者の動静監視に注力し、不法就労の抑止を図ることが決まりました。
不法就労している外国人の防止を目指し、入管職員と警察が連携して、被仮放免者の不法就労及び雇用主の不法就労助長を積極的に摘発する対策がきまりました。
以上になります。
最近の入管はようやく本気を出してきた感じがします。
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